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うれしいの作り方

占いが必要な時、悩みが生まれる時が
どんな時なのか最近だんだんわかってきました。

というのも、わたしの母は認知症老健施設にいるんですが、
母と話すことで、人間はどんなシステムで動いて
どう感じてどう行動に影響がでるのか
目の当たりにすることが多くなったから。

認知症のおかげで理性やこうすべきという社会性や
常識などの抑制がないので、
母と接することでひとの心の動きが見えるのです。
まるでガラス張りのからくりみたい。

相手をするのにあんまり困ることはなくて、
母が安心するために気をつけるのはたった一つ、

母がこうしたい、という欲求を吸い取るだけ。

驚くことに、認知症が進んだ母との時間を
楽しむためには、本当にたったこれだけ。

たとえば、
「明日帰ろうかな」
といったら
「そうやね、明日朝迎えに来るけん」
「うん、やっと帰れる。ほんと楽しみやねー」

これはウソ。母は明日帰れない。
1分に一度同じ会話をして、1分に一度ウソをつく。
いいの。母がそのとき安心するから。
わたしがウソをつく悪よりも、母がそのときうれしいことの方がずっと重要だから。

ほんとにね、わたしはこれまで、ひとの心の能動を吸いこむことが
こんなにも大事なこととは全く知りませんでした。

そりゃあもちろん占い師として長い期間働いてますし、
幸川玲巳先生やほかの有名な方の発信する事も読んだり聞いたりします。

だから、知識として蓄積されているし、
お客様に対しても誠実に行動してきたと思います。
授業でも当然やるさ。

でもねえ、こんなにほんの小さなことまで
要求を吸い込むことが大事なこととは本当に知らなかった。

吸い込まずに、たとえば拒否するとどうなるか。
「明日帰ろうかね」
「いや、ここにはずっとおらないかんとよ」
とか
「ロールケーキ食べたいねえ」
「甘いもの食べられんよ」
とか
「病院行きたい」
「今日は遅いけん行かれんよ」
というほんのちょっとの、
通常の暮らしの中では当たり前の小さなNOがあるだけで、

その小さなNOの分、母の要求は強くなり、
強くなった要求を抑えつけるためにプレッシャーは大きくなり、
願いが叶わない母の苦しみは育って、みるみる具合が悪くなっていく。

ほんの小さなNOなのに、こんなこと普通の生活の中に
たくさん散らばっているのに、
それはこんなにも大きな苦しみになっていく。

ちなみに父はウソをつけずにこんな調子なので
母は暴れてしまい、今では老健出禁ですわ(-_-)

そんで思ったのは、健常に生活しているひとたちも、
同じように、小さな種を体の中にずーっと貯めているんだろうなという事。

そしてたぶん、そのことに気付いていないだろうという事。

プレッシャーだって「いやだ」と自覚してたらちゃんとわかる。
でも、自分で自分に出すNOだったり、
常識や良識、善悪といった、いい顔のNOもある。

良く生きる、ということは
ガマンする、ではないはずだ。

あなたは何を欲していて、それにNOを出すのは何か。
人や環境とは限らない、自分自身だったりするかもしれない。

そしてNOを出されたことで、わたしたちはどうなっていくのか。
知らないうちに、健康だからこそ気づかずに小さな小さな何かがたまっていって、
それはもしかしたら取り返しがつかないくらい大きなものに育っていくかもしれない。

だから、

健康な人は自分の中のアンテナはやっぱり高くしてて、
かなしいことやくるしいことに気付いて、
いやだなときちんと思ってほしい。

そんな思いが生まれるってことは、
砂粒みたいに小さくても何か危機があって、
それを察知してるはずなんだ。

あなたの心にある小さな欲求や要求を、
こんなワガママをいうのは子どもっぽい、とか
ガマンしなくちゃ、とか常識的に考えて、とか
よその人が見たらこう思うかも、とか理性的であれ、と言って

抑え付けてしまわないでほしい。

抑え付けたら、それ、なくならないから。
知らないうちに大きくなって怪獣になるから。

なくすためにはたった一つ、
あなたの周りの人から
「うん、そうだね」
って言ってもらうだけ。

あなたも大切な人に、友だちに、
「うん、そうだね」
っていってあげて。

たまにはケンカするのもいいけど、
たまには「うん、そうだね」って言ってあげてもいいよね。

他のいやなこともぜんぶ消えちゃう魔法のことばだからね。