昨日、長崎の市長が銃撃され、
夜中になくなったという話を聞きました。
わたしは長崎出身で、とてもかなしく感じます。
伊藤一長氏は見目かたちのいい方で、
とても目立っていました。
わたしは、政治にはほどほどに興味があり、また興味なく、
といったごく普通の庶民ではありますが、
伊藤氏が芸術にとても造詣が深いという点で
共感の持てる方でした。
というのも、以前わたしが長崎交響楽団に所属していた時のことです。
フィガロの結婚というオペラをする機会がありました。
フィガロの結婚というのは喜劇で、
げらげらと笑いが出るようなオペラです。
その中でほんのちょい役で市長が出る場面があり、
まさにその市長役で、まったくのサプライズで
本番にだけ伊藤氏が出演したことがあるのです。
ダメ出しの時にも別の人だったし、
わたしたちオーケストラのメンバーもびっくり。
ピットの中から、「あれ?」と言う声も漏れ、
つい楽譜を見落としてしまうほどです。
ましてやお客様はもっとびっくり。
すらりとして麗しい彼は、
シルクハットと燕尾服が良く似合い、
華々しいオーラを放っていました。
そのときの伊藤氏はとても楽しそうに、
うれしそうに、市民の拍手を受けていました。
オペラでは最後に役の挨拶がありますが、
その挨拶にもしっかりと参加。
待ち時間3時間というところでしょうか。
わたしは長崎を離れていたこともあって、
彼が具体的にどんなことをしたのかには言及しませんが、
自分の仕事に対する情熱と、
強いサービス精神と、
人の前に立つというその役目は
強くわたしの中に印象付けられました。
心からご冥福をお祈りします。